500日/はるな
 
然混乱は深かった。わたしはいつも途方にくれていたし、混乱していて、不安だった。それでも、いつもわたしはわたしの中にあったのだ。
(望むと望まざるに関わらず。)

500日ほどかけて、服を捨て、靴を捨て、本を捨て、写真を捨て、連絡先を捨て、捨てた。伸びる髪、伸びる爪、伸びてゆく娘。捨て、捨て、捨てていく合間に花を買い、枯らし、捨ててはまた買った。卵を買い、牛乳を買い、パンを買い、湯を沸かす営みのなかで、少しずつ古びていくノートを捨てずに持っているのは。いるのは、泣くほど嫌な全部と、13年ぶんの嘘がまだ必要だからだ。

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