航路/
たま
わたしは
わたしでしかないはずなのに
日が射した水平線に
ことばは
生まれて
約束した日の日記とか
忘れ物した日の伝言とかは
もういちど
捨てなければいけないみたいな
くぐもった声が
聴こえるから
それはいやだと拒んでみても
いま
こうして
意識の片隅で
奪われて行く体温が
あなたのものであったことに
気づいて
わたしは
ようやく
海の正体を知る
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