日陰/ミナト 螢
 
恋も病も終わりなど見えずに
体を燃やして尽きるのを待つ

たったひとつの命を削った
髪の毛を抜いて道を作るなら
誰もが避けてくゴキブリのように
曲がりくねった暗闇を行こう

太陽の日差しが似合う笑顔は
役に立たなくて売ってしまった

ゴミ箱の横で汚れた人形と
手を繋いでるその耳を胸に
当てる代わりに
電池のいらない時計になろう

鼓動が短く急ぐ人生に
名前を付けて回っていくだけで

風は髪の毛を吹き飛ばすだろう
道は歩いて伸ばすためにある

僕はこの命を拾った時
Tシャツが膨らむのを喜んで
人形の手足をそっと伸ばした
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