ひかり担う手/木立 悟
 






雨の集まり
光の素地
光の葉が泣き顔を隠し
涙の代わりに光を流す


白い家を覆う白い花
白い枝 白い径
色の失い風の
色の失いうた


石像に囲まれた泉に
降りて来る鳥
置かれた筆
水を出て 径をゆく影


樹々の奥から
白が近づき
通り過ぎてゆく
家々のはざまの海へと


光のまだら
羽の冠
触角の森の凪
水銀の実を踏みしく足


雨 光 けだもの
濃さを増す白と金
空の折りめに
消える呼び声


現われを捨て既に在るもの
其処にも此処にも居ないもの
数億年後に再び会うまで
まばゆいすれちがいを繰り返す



















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