また会える?と彼女は聞いた/ホロウ・シカエルボク
 



氷のコートをはおっているみたいな夜を
ぐしゃぐしゃとした足音を立てながら歩いた
平日の深夜はまるで死体安置所のように静かで
おれは可能な限り
可能な限り正気を保っていた


最近新しく出来たホテルのそばの
昔からある小さな酒場が並ぶ路地の片隅で
売春婦らしき女がボロボロになって横たわっていた
それはもうトゥラララの話を思い出すぐらいにさ
近寄ってみるとまだ息をしていた
だからおれは彼女を担いで
ホテルの入り口を潜って部屋をひとつ取った
深夜のフロントの若い男はえらく驚いていたが
面倒を避けたかったのか何も言わずに手続きをしてくれた


ツイン・ルー
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