傲慢の火/新染因循
 
太陽がとおく大洋の彼方を翔ぶ。
あらゆる波には
千々の銀箔が散りばめられていた。

不滅の翼などはない。
宙に驕った罰であろうか、
この黄金には蒸発さえ赦されない。

落日。

あらゆる目が絶え、あらゆる影が消え、
波濤にくだけた一日という身投げを
海辺のわたしは、みる。

風も止むような静寂と
わたしに打ち寄せる波、波、波。

わたしは叫んでいた。
大口を開けて叫んでいた。
かき消すように奔流が
わたしへと叫びかえしていた!

海面は覆されたような黒の
そのうちで悲鳴を反芻していた。
揺らめく幾筋もの手に吐き出されて
わたしは空を見あげた。

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