昏睡の祈り/由木名緒美
 
透明なビニール袋に夜闇を包んで抱きすくめたい。耳梁から泡になって消えていく音楽のように、この部屋に息をしている形容しがたいもの/ほら、私の爪先に侵入していながら体温は南極の氷に閉ざされてしまう。いくら掘り進めてもそこにはもう何もなくて、真空/という名の抜殻があるばかり/

     「君」はどこにいるのか
         脳裏に温かく発する残像の始点はどこから?
 
     朝も夜もなくただ射貫く光だけが空間を縁取って
           焼ける喉を潤したい、「私」の輪郭が剥がれていく

密接させるんだ。命の管が結ばれる花糸と子房を分解してほどいていく。それを私達は愛と呼ぶ。
[次のページ]
戻る   Point(7)