君の命が杯になる/由木名緒美
 
ひとつぶの光を追う
求められた大きな聖杯が
冷えた水蒸気をまとう
あらゆる渇きに喉が浸せるように

切り裂かれた流星は象徴を保ったまま幾片の塵となり降り注ぐこの夕闇に
君は息をひそめて自身の影の色彩を問う/儘ならない不安定な呼吸を庇うように


 光は 
    断片を放射状に浮き上がらせる 

        命の群れに合図をおくりながら

ここは前線/命と命の応答が/一期一会の均衡で/互いが互いを認証する/風雷の速度

邂逅の熱線だ/賭けた魂が射られる衝撃/余波はせせらぎに吸い込まれながら

  迎撃に己の拳さえ切り落として迎え討ち


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