宿題/為平 澪
 
母に愛を頂戴と 両手を差し出すと
母は遠い所を見るように 私を見つめる

朝 白い大きなお皿の上に
母の首が置いてあった
寝室の机の上にある手が握っていたのは
((少しでも足しになれば…、
という文字だった

私は
愛する、ということについて 解答するために
母の首を提出した
倫理の先生は激怒し警察に電話を掛けた
心理学や哲学の先生は大絶賛して拍手した
社会の先生は私を取材し
科学の先生は私の脳波を計った
そして医学部の講師は
母の首をいくらで売ってくれるかと
真夜中に呼び出した

ただ用務員のおじさんだけが
私と同じような解答をしたので
飼育係にさせら
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