世界/由比良 倖
眼は眼の外にあり、私たちに肉眼などあり得ないのです、世界にはもとよりひとりしかいなかったのだから、神様が発明したのは、ただ孤独(iso)だけで、
「私が遠い場所に行って帰ってきたら、どうか私が私である本来を、私を(裏)返して、」
(私をきっと、私をきっと手の平の上で、夜にして
白い記憶の中へ、日の拡がりに(なみだ)が浮かび、上がり、
鳴らないラジオが、並び、続いている、どこまでも、ここま、でも、
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止まる場所を見た、そう言えば昨日、扉が閉まっていて、心臓が止まっていて、
あなたはずっと眠っていて、人形はいつまでも笑っていて、僕は、
僕はいつまでも少しだけ、震え
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