剪定/新染因循
繰り返される奇蹟の剪定。
無造作に投げられた肥料袋の中
目一杯に、名のかけらもない痩けた原住民。
命を表象した符号がうねる交差点。
ときおり霞むような速さで、伐採、
あるいは収穫をおこなう、交信中の仔羊の散瞳。
肥えた、戦禍で編んだスーツを着た、逃げ惑う老人と、
その指からこぼれたショッポの吸い殻。
それを路地裏から見ている、右腕の欠けたわたし。
逆光と、けたたましい金切り声へと、
吸い殻だ、それでも袋詰めにはなりたくないと
駆け出したわたし。
街路樹の根にすわれる、希釈された葡萄酒、
黒ずんでひび割れたのどを濡らした奇蹟、
それは雑踏の腹いせにふんづけ
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