白い世界/犬絵
 

砂の城


そして、
無限へ


夕立が
この町と
あの花を
無表情に
叩いていった


とても優しい気持ちに
なったから
戦わなくてもいいんだ


そしてけれど
失くしていくものは
いつか取り返すことが
できるだろうが、
かつて知った
いく百のうたを歌うことができないのだ


優しい気持ちをもって
強い力をもって
なだらかな坂道を
ただ
登っていく


かつては
信じることができた
今はもう、
疲れ果てた希望を


笑うな。


笑うな、三日月。


月に架かる橋が無いなら


優しい気持ちを、笑うな、三日月。


さんぜんはるかの、彼方の月よ、


月へ飛びゆく、真白き舟よ、


愁いも、白き、三千世界よ。





戻る   Point(11)