無題/◇レキ
 
出来る、のなら
何故人は明日を想う力を持ったのだろう
今しか存在しないと言うのなら

絶望という世界を小窓越しに見ると突き通った空に星
小窓には僕の生と言う汚いシミがこびりついていて
今という風が、小窓をカタカタ言わせている





詩を一言で代弁するなら
「生きるのが苦しい」だろう

擦り切れて、千切れでボロボロに
果てしなく果たされない、その余剰に雨が降る





詩は例えば
生きることと優しさの
間のどうしようもない真空に
願うように生まれるものなのかもしれない

世間には「情」があり
沿うように
行き届いた「うまさ」によって
人はどうにか生きて行く

悪とは粗悪な「うまさ」であり
道徳による自殺もまた、粗悪な「うまさ」である

「うまさ」によって人は死に
「うまさ」によって人は生きて行く

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