n番目の郷愁/
 

幼子の髪にうつれる檜葉の香は常磐色とぞ見えしが今は


使い古した悲しみが
千々に崩れて風に舞う
遠い昔の草むらの
トンボを毟った黄昏に
笑う子供を卑しむる
君を大人と呼ぶのなら
私はぶらんこ飛び降りて
遠い昔の草むらに
乗り捨てられた一輪車に逢いに往く
戻る   Point(4)