生命/
帆場蔵人
白鷺が
橋の欄干に立つ
切り取られた
わたしの
瞳のひかり
羽ばたきが心を
さらいゆく
橋の上の肉体は
ただわたしを見上げて
心ここに在らず
遠く遠く浮遊する
時すらも置き去り
風が生命を運んでゆく
わたしの哀しみも喜びも
抱擁するように
あの人の墓に供えられた花を
生まれたての赤子の声を
祭りの喧騒のひとつひとつを
抱擁するように
枷はなく飛翔する
抱擁できなかった生命を
わたしは今、抱いている
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