ラーメン奇譚/腰国改修
 
きに目眩がして、ごめん、ごめん、それ指だよという声が聞こえた。思わず叫んで席を立ち店から駆けだした。

無我夢中で走って振り向いたら駅は小さくなっていた。おかしいなとよく見ると、駅はジオラマだった。ジオラマの中の町の駅ビルの、さらにその中の飲食店街のあのラーメン屋にいたのは夢だったのかと思い、冷や汗をかいていることに気がついた。どうやら体調が悪くなっていたようだ。近くのベンチに腰かけると、目の前を何人かの警察官が通り過ぎた。何となく彼らの指先を見てしまった。けれども、なぜかはっきりと見ることが出来なかった。街の何処かから正午のサイレンが響くのが聞こえた。
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