ラーメン奇譚/腰国改修
 
ストの店内で、映画のセットか何かのパビリオンのような風情で、気分を落ち着かせることも兼ねてここで昼食を済ませようと決めた。

決めたのはよかったが、まだ店主と旅行客たちは侃々諤々やっている。大騒ぎどころか大乱闘で、時折店主が手を振りかざす。よく見ると左手の小指と薬指が欠損しているのが分かった。どうしたものかと思っていると、いつの間にか店員らしきみすぼらしい少年が目の前に立ち、右手でオッケーサインを示し、左手は五指を広げている。五百円を払えというジェスチャーだとなぜか分かった。同時に店内の壁に画鋲でメニューが貼られてあるのが目に入った。ラーメン五百円。それだけだった。

私は五百円玉を少年に
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