トランスルーセント/1486 106
横断歩道の
真ん中辺りで
立ち止まる
逆行が背中に
突き刺さって
立ち止まる
誰にも気付かれず
すれ違っていく
自動販売機の
真横に立って
空を見上げる
夕日が瞳に
突き刺さって
泣けてくる
風だけがきっと
私を見ていた
私はきっと透けている
透明になれず透けている
私はきっと透けている
満たされないまま透けている
周りがみんな
見逃すような
些細な汚れが
気になって
夜のリビング
ソファーの上で
丸くなる
静寂が心に
突き刺さって
私はきっと透けている
透明になれず透けている
私はきっと透けている
染まれないまま透けている
透けている
透けている
た すけてって
いって いる
叫んでいるよ
小さな声で
聞こえないように
小さな声で
戻る 編 削 Point(21)