嘘つき/腰国改修
 
に書いた詩も、あなたへの思いも、振る舞いも実は嘘でしたと告白すべきでしょうか?」
 私が話し終えると目の前の女性が話した。

「そうだったのね。あなたは自分でも認める嘘つきの詩人さん。何だかんだ相談事があると、その都度私を呼び出して、私は、ああこの人には私がいなければいけない、どうしょうもなく弱い人、だから私が守ってあげなければと思うようになっていた。好きになっていたし、愛しいと思っていた。私が年上だから、見事にあなたの虚構に母性本能ごと騙されたのね。何だか私もあなたも哀れね」

 私は言葉が出なかった。
「そうね、彼女には、告白しないほうがいいわ。ずっと、黙って、心の奥にしまっておくの。ずっとよ」

 私は黙って頷いた。

「それにしても、私も告白するわね、私はね相談相手のいいお姉さんではなくて、嘘でもいいから好きだとか言ってほしかった」

 私は何も言えなかった。
 気がつくと彼女は席を立ち、レジで二人分の喫茶代を払い終わっていた。喫茶店のドアに吊るされた、ありきたりのカウベルが鳴ったときもう彼女の姿は見えなかった。







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