タキオン/1486 106
立ち入り禁止のビルに忍び込んだ真夜中
インスタントラジオからの呼び声を頼りに
僕達は星が一番近くで見える屋上を目指した
星座の名前なんて何一つ知らないままで
手すりから身をのりだして大声で叫んだ
滑り落ちそうになってみんなで引っ張り上げた
覚えたての缶ビールの味にほろ酔い気分になって
普段だったら言えないような恥ずかしい夢なんかも語った
この世界には僕達以外の人間がいないかのように
生まれたままのありのままの姿で笑い合っていた
地球が回る速度に振り落とされてしまわないように
つまづきながらも転びながらも僕達は全力で走るんだ
限界を知らないから無茶ばかりするけど倒
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