常久/
1486 106
終着駅の空に落陽
飛び立つ鳥と広がる闇
古びた映写機は回り出し
遥かな旅路を振り返る
安寧の中に潜む幸福と
悲愴の陰に佇む光明と
忘却の底に煌く情景を
僅かな時間で振り返る
夢と現実の境界線など
この世とあの世の境目など
陽炎のように揺らぎながら
誰も正体を知ることなく
連綿と続いていく日々に
やがて終わる時が来るのなら
懸命に生きた存在の証を
時代の片隅に刻み付けよう
とこしへの眠りにつく前に
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