すべては歌曲から・シューベルト/st
シューベルトが作曲するとき
意識して
あるいは無意識で
ほとんど
といってよいほど
歌曲の世界へと向かう
ストリングクァルテットが ピアノクインテットが
シンフォニーが ピアノソナタまでも
歌曲を歌う
モーツァルトもメンデルスゾーンも
シューマンも
歌曲を創るが
その世界をこれほどまでに
歌曲以外の分野に
ひろげてはいない
シューベルトだけの美の世界だ
そのなかで最も好きなのは
ストリングクァルテットD810 死と乙女
かけめぐるシューベルトだけの
はげしく美しく
悲しさを歌う旋律
やがてそれは
歌曲 死と乙女の世界へと導く
この曲のなかに
シューベルトの魅力が
すべて詰まっているといってもよい
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