夢の対価/
 
よく墜ちるプラスチックの星、
鍵も暖房もない部屋、
散らばった本とぬいぐるみ、
頭の先まですっぽりと被った布団、
髪の毛の一本すら残さず覆って眠るようになったのは、
天井いっぱいに作った星空が眩しかったからで、
ママのおなかなんて恋しくない。

  お星さま、
  わたしのおねがいは、
  いつになったら叶うの、
  冷たいベッドの、
  柵と、
  やわらかい紐のおまじない。

  もうママに怒鳴られる朝はいらない。
  もうパパにキスされる夜もいらない。

知っている人が誰も出てこない夢へ一人旅、
秒針や足音にドキドキすることなく、
ずっとずっと眠ってみ
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