白梅/竪琴/
新染因循
白梅/
三月の梢に白梅が一輪
打つ、打つ、秒針が打つ
朧夜の風は一握の砂
一握の砂は白梅の香
散る、散る、白梅が散る
白梅の梢に静寂が一輪
竪琴/
月の寝台に腰掛ける。
測りがたき遠方の水平。
ああ、忘却を満たす潮騒と
白く澄んだ女神の微笑、
響きあう波と時間。
しののめを編む母は
今宵、竪琴を弾くだろう。
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