地上八階における試行錯誤/
 
夜明け前の白い空はどこまでも遠く
頬撫ぜる風はひやりと澄んで
そっと開けた窓の縁
手をかけ
足をかけ
踏み越えた

見上げる影へ風を割り
着いた痛みと衝撃と
薄れる意識に思うのは

もう一度
 ああ、こうじゃないんだ
もう一度
 瞼は重いが
もう一度
 暗闇にとけながら考える
もう一度
 やはり最初が肝心だ
もう一度
 始めっから
もう一度
 何度だって
  もう一度

夜明け前の白い空はどこまでも遠く
頬撫ぜる風はひやりと澄んで
そっと開けた窓の縁
手をかけ
足をかけ
踏み切った
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