針女その他の物語 2018・9-10/春日線香
眠りを、彼女は眼球のない穴から覗いている。泥の中で戯れる悪魔や子供たちに向けて、彼女は何かを言おうとしている。針山のような舌で何かを言おうとしている。
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闇の中で燃える火よ。泣き疲れた女、マラルメよ。軌道の果てに行き着くことはないと正しく異なるステップで奏でた草花。夢から夢へと遍歴する、酩酊ののちの酩酊、燃え尽きたページをめくる骨の手の群れ。僕らは死に次ぐ死に飽き果てている。さらに夢見の果てにあるテラ・インコグニタ。闇の中で血を吐く手紙、マラルメよ。月夜の月よ、花束よ。
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