仏像/春日線香
 
絵の教室で聞いた話。とある農家から出た木の仏像があって、手に入れた絵描きがアトリエで作業の合間に眺めて過ごしていた。ある日、いつものように画布と格闘していると、いきなり真っ二つに仏像が割れた。頭の先から組んだ膝まできれいに二つに分かれてしまい、おそるおそる開いてみると、仏像の中には蟻の巣が広がっていて、ただしもう蟻は消え果てて巣の廃墟になっていたという。まるで胃や腸のようだったよ、とは当人の言葉。
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