買物公園をただよう天使は戦車を待っている/
 
西武だったビルを背に
錆かけたブロンズ弦を掻き鳴らす
白い腕ばかりが気になって
歌なんかまともに聞いてやいないけど
クラーク先生に忠実な彼の愚直さに
譜面台にぶら下がった「日本一周」の文字に
拍手を贈りたくて
日陰を探した

真昼に
照りつける
詩は
力強く

私を拒絶し、

西武だったビルの半ばくらいまでは飛んでいる
人間らしさが
夏の
三国峠の白線のように

責め立てる。

(愛とか平和ってさ
 いつの間に他人から説かれるものになったんだろう

、ね?

 どうでもいいですか、そうですね、みんな死ねばいいんだと思います)

砂時計のくびれを摘まむように
天使は戦車を待っていて
せまっこい青空へひゅるり
鈍色の鳩が墜ちてった
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