魔物のような/中山 マキ
この黒く暗いものは
誰にも話す必要がないものなのに
私の精神を形成している中心部に位置している
いらないよいらない
そんなものいらない
と思い込もうとしているもの
その温もりを感じない場所で
僅かに目を逸らして生きているのに
小さい手に触れる機会があると
つい触れてしまう、途端に
私にあったもう一つの人生を
想像せずにはいられなくなる
羨ましいと呼ぶ感情は
私を魔物に即座に変えるから怖い
でも1番怖いのは
羨ましいって事を、ちゃんと認められない事なのだろう
一過性の気の迷いとは明らかに違う
年季の入った後悔や期待や想像に
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