キリストとフクロウ/ホロウ・シカエルボク
れは至極シンプルな、素晴らしいことのように思えると同時に、非常にハイクオリティな動物の暮らしだという気もした。でも本当はどちらかなんてどうだってよかった。腹が膨れるとすぐに車を走らせた。ゴミは助手席に置き去りにすることにした。樹海の近くには駐車場のようなものはなかったので、少し広くなっているところに適当に止めた。手ぶらで歩み入ると、このところ雨でぬかるんだ土が驚くほどに沈んだ。スニーカーで歩くのは苦労しそうだ。そう思ったが引き返す気にはならなかった。空は今日も曇っていた。いまにも雨になりそうな色だった。けれどこの森の中なら、さほど濡れることもないような気がした。管理されていない森なのだろう、木々の
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