キリストとフクロウ/ホロウ・シカエルボク
 


コンビニエンスストアの駐車場で鍵つきの車をかっぱらって、曇り空の下、国道を北方向へ二五時間休みなしに走り続けて辿り着いた先は、名もない樹海だった。バックシートを漁ってみると同乗者の荷物のなかに財布があったので、少し戻って営業している廃墟みたいなコンビニでパンとコーヒーを買い、駐車場で食べた。ディズニーの小人みたいなレジの婆さんと俺以外どこにも人間は見当たらなかった。人間よりも野生動物の方が多いに違いないだろう、そんなところだった。こんなところに住んでいる連中はいったいどんなことをして毎日を過ごしているんだろう?農家だろうか。一日中、米や野菜を育てて、それを食って生きているのだろうか。それは
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