朝の日記 2018夏/たま
私の
主語を探している
大風の通り過ぎた日の
夜半の
灯りの絶えた
あはれなる街を歩けば
たれかそこに居て
ついて来ないか、と
私を誘う気がしてならない
夜に旅する
物の怪の
その姿を見ることもなく
今生の主語を語ってはいけない
それは
私の
すこやかな朝に立つ夢
まどろみの夢のつづき
真闇の辻に
いのちを運ぶ
物の怪の
あれは
主語のない物語
格助詞の
「の」に閉ざされた
私の
いのちの物語
だからこうして
今朝も
私の
主語を探している
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