クリスマスには無数の光が幾千の影をつくるんだ/竜門勇気
 

旅の途中で
出会うような街にも
君が普段行くような
埃にまみれた
店がある

ハンコ屋の軒先で
酔いつぶれた爺さんが寝てることだって
それほど注意深くなくても
気づくだろうし

いつもと違うのは
自分の存在だけだって気分
世界はそれも飲み込んで
回るだけ
そんな一人ぼっちを
守ってくれるのは
あいつだよ
もうすぐ会える
明るく夜を押しのける
光を呆然と眺めている

クリスマスに
何かを届けたくて
聖人はひとり死んだ
君は大事な誰かのために
休みの日に出かけるんだ

僕が知らない
誰かのために

クリスマスに
何かが欲しくて
部屋の中でひとり死んだ
君は明日もきっと
誰かが待つ家に帰れるんだ



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