透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
ミのような心臓にうんと小さな、異国の花火のような小さな光をもたらしました。
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森は黒く、風の鳴る音はおそろしい獣の低いうなり声のようでした。森の真ん中には鳥葬の塔が影とそびえ、豆粒のような黒い鳥が舞っているのがよく見えました。
「おかあさま」
「すこし気分をかえていらっしゃいな」
奥方は扇子で顔を隠しながら、うんとやさしい声でいいました。
「おとうさま」
「その金の飾りがあれば、よい医者がみつかるだろう」
金の飾りのぶんだけ少しからだが軽くなってしまった領主は、盤上の遊戯のつぎの一手のことを思いつき、そわそわしながら言いました。
「お姫さまは、奥方さまと領主さまによく似ておい
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