透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
おりましたのに、領主との結婚はまたたく間のうちでした。
盤上の遊戯は、奥方が手に入れた北方の書を、領主がよりわかりやすく立体化したものです。しかし由来がともかくあまりにもあやしいものですから、領主はいつのまにか魅入られ、虜にされてしまったのですね。
ほんとうはこの恋や、北方の書にも、盤上の遊戯にも、それぞれ百冊のものがたりに編まれていいほどの悲しく苦しいできごとがあったのです。
けれどもわれわれは、お姫さまとともに歩みましょうね。
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すぐに、お姫さまがうまれます。
ところが国をおさめ、ひとの愛に飢えた領主をあまやかしているうちに、奥方はお姫さまに少し会うだけで、
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