透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
 
 もとは華美だったとわかるうつくしい布切れを纏い、にぶく輝く金の鎖をつけた骸骨が、足を引きずりながら、ま白い日の照りつける、荒涼とした砂漠をよろめき歩いております。
 透きとおるような薄青い空に、白い雲は天空に吹きすさぶ風にまかれ、鳥や獣や森のかたちにすがたを変え、またたくうちに遠くからやってきては遠くに去っていくのでした。
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 むかしむかし、あるところに、桃の産毛のようにひかる赤い頬を持つ、ふくふくとしたちいさなお姫さまがおりました。
 おかあさまは領主の奥方、おとうさまは領主でした。
 
 金銀があふれるようにとれる贅沢なこの土地をおさめる奥方は、動脈から滴る血の色の
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