色なんて分からない/ムウ
 
滴る液体は何色だ?
フェードアウトしていく最中
街灯のように光るものを
届かないとわかっていても手を伸ばす
本能がそれを追いかける
まるで危険知らない蛾達のように
悲しくも緑色を散らしながらも

静寂の中に見覚えある人影
振り返ることないその人を
自由の効かない幼さは無我夢中に
それでも人影は一つから二つに
無慈悲にも沈んで行く
泡に混じる群青色はいつまでも
遠ざかる人影を追いかける

鼓動は聞こえる 終焉の時を知らずに
無機質なものに傷つけながら
呼ばれる懐かしさと新しき声が交差していく
微かな新しき声に希望を握り締めながらも
懐かしさを抱きしめてしまっていた
選んでしまったのさ真紅の色を
何色かなんてのは分からないまま

わかるのは頬をつたう雫が透明だってこと
それくらいなものかもしれない
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