さびしい都/塔野夏子
 
私の中に
さびしい都がある

そこでは多くの人が行き交うけれど
皆どこかさびしい瞳をしている
そこここで交わされる会話にも
どこかしらさびしさがにじんでいる

街角の光景も
どことはなくさびしい
街路のにぎやかさも
そのにぎやかさがさびしい

時にきらびやかなパレードもあるけれど
そのきらびやかさがさびしい

さびしい都は
いつから私の中にあったのだろう
気づくとそこにあって
少しずつ広がりを増し
人の数も増えているようだ
つまりは その都のさびしさは
増殖をつづけているのだ……

このさびしい都を抱えて
さびしさを増しつづける都を抱えて
歩いてゆくしかないのだろう 私は
さびしさのざわめきを内に聞きながら
ひとりの さびしい人として



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