あたらしいマニキュア/万願寺
ね、ね、ね、偏光パール。乳白色。液体のなかなぜかイルミネーション海の色をしているそうなの。ひまわりだって黄色と茶色と緑ですぐにだれでも言語にするのに、こんなの再現不可能じゃない。じゃない。こういう色を造り出すのは科学者じゃなくて職人じゃなくて女の子の仕事。こころのなかの女の子を殺せなかったおおくの人人の記憶、指先をつたう。巡って動脈かえって静脈それはしたたり青息吐息、試行のすえに、競合のすえに、広告のすえに、輸送のすえに、何時かはやっと、爪の上に乗れるといいよね。おしゃまな液体たちは工場でよなよなお喋りするのか、ぎんいろの冷たい皿の上で、乾きゆくあまたの白色たちは夢なんか見ない。かれらは夢を見せる
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