雨とモスキートコイル/MOJO
随分練習したんだぜ。初っ端 からぶち壊しやがって。ギターの二人も緊張している。彼等は交互にボーカルを取るが、声が震えているし、ミスタッチもいつもより多い。そんなことを考えているおれも、緊張のせいか、ベースを弾く指が、滑らかに動かない。
まあ、そんなこんなで、バンド、モスキートコイルのデビューライブはあっという間に終わってしまった。本当にあっという間だったけれど、おれには達成感らしきはあった。隣の楽屋に戻ってきて、次のバンドのMCを聴きながら、窓際の日が差している床に寝ころぶ。少し汗ばんだ背中がひんやりして心地よい。ああ、いつまでもここでこうしていたい。
楽屋にしている教室の戸が空いて、複数
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