午睡/ヒヤシンス
お前は夢を見ているのか。
緑に囲まれた小さな庭の片隅。
日陰に置いた籐椅子に腰かけたお前は優しく眠っていたのだ。
静かな寝息を立てているお前に私は小声で語りかけた。
見てごらん、あそこの木の陰に栗鼠が隠れているんだ。
まるで僕らがそいつに気付かないとでも思っているんだな。
思い切り口に頬張った木の実を僕らに取られるんじゃないかと怯えている。
可哀そうな奴だな。あ、木の上に登って行っちまった。
お前の微睡を幸福の証として私は眺めていた。
日盛りの午後。
軽い眩暈を覚えた私は、お前の真向かいの籐椅子に腰かけて、
一人、アイス
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