マガイモノ/渚鳥
 
冷蔵庫のシュークリームが
パサパサになっている予感とか
時計を見なくても今が大体何時かというのに気づいている眠り
それは当たる日もあれば外れる日もあるけれど
天気予報ほど重罪じゃないさ

どうしてそんなに眠りたがるのか分からない
一体、
どうするつもりなの?

本当は起きている
眠った姿勢の自分に向かって
そんなことを毎日、毎日、寝言のように続けている
(膨大な昨日が消失するまでは)
(終わらないのだろうか)
しかし眠いことは眠いのだ

コーヒーを淹れているときから既に
酸いとか旨いとか分かる感じ
脳がピークだと思っていたときそれは大草原みたいなもので
枯れない草はないのだけれど
自分の頭の中が枯れ草だらけだなんて
想像は怖い

(自分の幸いを願ったことがあったのだろうか)
(夢に、母が会いに来ていた、どうしたんだろう、近頃、多い)
父母しか知らない話にたどり着く前に
目を覚まそうと思う

薔薇の箱のお香は
忌まわしいマガイモノだ
くしゃみをした
何かまだ分かっていないものがあると
思いながら夜8時電気を消した


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