記憶の河に/こたきひろし
 
通り過ぎた過去の時間が垂れる雨粒になって
私の脳内の真綿に落ちて滲みるよ

君が私にしてくれた事
二人の子供を産んでくれた
私が君にしてあげられた事
二人の娘をその子宮に運んであげた

なのにどうして男と女は
気づけば背中を向けあっていた
だけど 我が子はすくすくと育ち
私の知らない間に二人とも
初潮を迎えていた

でも男はそんな事知らなくていいのさ
知らないふりをすればいい

なのにどうして男と女は
気づけば背中を向けあっていた

通り過ぎた過去の時間が垂れる雨粒になって
私の脳内の真綿に落ちて滲みる夜は
何だか寂しくなって
自棄に飲みたい気持ちになるよ

でも酒は飲むのを止めたんだ
埃を被って干からびているかもしれない私の命
それでも生きている間は
必死に生きていくのさ

心の真綿に寂しさが滲みて広がるばかりだけど
戻る   Point(2)