◎銀河の原罪/由木名緒美
引き裂かれた純白は紡いだ秘史
振り向く斜陽は
嘆きの夜を引き上げる
むせぶ人の片頬の躓きを藍色に包み抱いて
腐臭の眼に沈む夜
鈍刀は胎盤を貫き
血の海は溶岩流となって皮膚を焼いた
絶叫はお前の獣をあやしたか
その溜飲は奈落の淵に届いたか
傷みとは殴打する心悸の記憶
自我と彼我とを乖離させる岸壁への身投げ
内在を切り刻むことで 他者の依り代へ報復する
憧憬は堕ち、娼婦の凛々しさを慕い
逡巡が太腿を蒼白に染める
それは憂愁の兎だった
無垢な黒目を涙で浸し
嗚咽に背を折り月を振り仰ぐ
縁故から断絶された慟哭の
水底に響く以心のさざなみ
その喚(な)
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