桑田佳祐と黒い鞄/MOJO
 
東京の、東側にある下町の一角。
バラック建ての小屋が建ち並ぶ路地裏の奥に、ひっそりと営業している立ち飲み屋がある。
カウンターだけの狭い店で、客は私と桑田佳祐だけ。
桑田はイカ刺しと塩サバを肴に燗酒を飲んでいる
私も千円札二枚をカウンターに置き、桑田と同じものを注文する
立ち飲み屋だから、注文と同時に金を払うシステムなのだ。
皿の絵柄が透けて見えそうな薄いイカ、きつね色に程よく焼きあがったサバ
割り箸で、イカ刺しをすくい、塩サバをつつき、杯が空く。
しばらくして、私は、桑田に曲作りの極意を訊いてみる。
桑田はどんな曲でも二〜三日はうめき苦しむと言った
桑田のような才人でもそうな
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