白い小舟/オキ
 
に導かれた。
「あれはね、地上で大好きな蜜柑も食べられなかった、不幸な子たちにプレゼントするためなんだわ」
 そう考えると、頭がすっきりしてきて、嬉しくなった。
「天国には、満たされなかった地上のことを、懐かしく、そして哀しく想い出している子もいるのよ」
 少女にはそれが、夢ではなく、現実に起こったことのように思えてならなかった。
 そのしるしのように、いくら窓から覗いても、あの白い小舟が消えていたからだ。

  おわり
О
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