罪と夜/ヤスヒロ ハル
夜空が訳もなく光っている
雨雲の無い稲妻が
わたしの罪を暗示している
人は許されることを愛だと思うだろう
優しさを寛容と取り違えるだろう
幸せを作用点にすれば
全ての不運は過程であると
自他に言い聞かせるであろう
自覚なく誰かを傷付け
自覚なく誰かを喜ばせ
なんとなく荼毘に付されるだろう
夜空が訳もなく光っている
名も知らぬ星座を
雷(いかずち)が横切ってゆく
わたしが罰を避ければ
だれか大事なものが
裁かれるだろう
嘘が嘘を呼ぶだろう
誤魔化しの雪玉が
坂道を転げ落ちるだろう
夜空が訳もなく光っている
月が割れそうな
穏やかな夜だ
わたしは
換金してしまった罪を
寂しく暗唱しながら
光る夜を見上げる
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