平行線/アザラシ
 

その言葉を発した瞬間

空はぐるんとひっくり返り
猫もぐるんと伸び丸まって
僕の世界は手のひら返し
みごとなまでに暗転した

まるで訳が分からない
口を滑らせてしまったという焦燥もなく
やらかしてしまったという後悔まで追い付かず
でも僕は
何かNGを出したらしい
ちょっととり返しのつかないやつ

さっきまで笑ってた君
面影は何処

君の目に僕は映らず
君は僕の世界から消えたがっている

首筋が少しひんやりして

さあ、
時間は解決してくれるだろうか
僕に味方してくれるだろうか

空気を読んだ湿度は言う
「きびしそうだよ」
あっさりと


僕はどうやら
僕が中心でない世界に
一度戻らなければならないようだ

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