砂/もとこ
気がつけば部屋の中に
砂が入り込んでいる
どんなに固く扉を閉めても
少しずつ床に積もっていく
朝に目覚めれば枕の上にも
細かい砂が散らばっている
(いったい何だっていうのよ!)
支えきれない現実に泣けば
涙の代わりに砂がこぼれる
悲鳴を上げようと開いた口から
さらに勢いよく砂が吹き出す
アタシの身体の穴という穴から
キラキラ光る砂が流れ出し
部屋の中を満たしていく
(ねぇ、どうして、アタシが?)
その答えを見つけるには
あまりに頼りない砂の脳髄
そしてすべてが終わった後に
見知らぬ訪問者が扉を開けば
一陣の風が部屋を吹き抜けて
アタシを彼方へと連れ去っていく
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