海の祈り/
ヤスヒロ ハル
魂をいためた旅人は
いつも詩を口遊み
誰かの幸せを
海のように祝っている
わたしは彼の肩に宿った
透明な神様に
厳かに頭を下げ
旅の無事を祈る
ああ、どうか
美しいうたのなかに
あなたのが潮(うしお)が流れますように
この願いが叶うことも叶わぬこともあるのに
はたして、
新しい詩人は生まれるべきだろうか?
人は
傷ついてでも、美を生むべきだろうか?
答えの無い夜に
よせては返す神様だけが
静かに光っている
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